はじめに
突然ですが、みなさんは「平成」という時代をいかがお過ごしでしたでしょうか?(※もう令和4年)
わたしは1997(平成9)年に生まれ、人生のだいたい半分をジャニオタ(長らく嵐担です*1)として過ごし、2020(令和2)年3月に某大学を"令和最初の卒業生"として卒業しました。めでたい。
その際に卒業論文として提出したのが、今回のエントリのタイトルにある「平成期のジャニーズの歌詞分析」でした。
( ↑ 実際に大学へ提出した卒業論文 )
遡ること5年前に「歌詞分析」という手法に出会ったことをきっかけに、まったくの別ジャンル*2で分析をしていましたが、卒業論文のテーマを決めるにあたって「平成という時代において、ジャニーズは何を歌ってきたのか?」という問いが浮かび、とうとう卒業論文として書き上げて提出してしまったのでした。ビバ、愛とド根性(?)
そういうわけでこれは、「平成生まれが平成のジャニーズの歌詞を分析して卒論(という名の壮大なファンレター)を書きました」という内容のエントリになります。
よろしければこのままお付き合いください。
研究概要
研究対象
本論の研究対象を選定するにあたって適用した条件は次の通りです。
- 平成期にジャニーズ事務所からデビューし、2019年12月現在でグループ活動を継続しているアイドルグループおよびデュオ。
- 平成期にデビューして既に解散したアイドルグループのうち、活動期間が10年以上のアイドルグループおよびデュオ。
- 期間限定ユニット*3・派生ユニット*4・企画ユニット*5は対象外とします。
以上により、本論での研究対象となったグループは、
- SMAP
- TOKIO
- V6
- KinKi Kids
- 嵐
- タッキー&翼
- NEWS
- 関ジャニ∞
- KAT-TUN
- Hey! Sαy! JUMP
- Kis-My-Ft2
- Sexy Zone
- A.B.C-Z
- ジャニーズWEST
- King&Prince
の全15組となります。 ジャニーズ事務所全体の傾向と同時に、各グループの傾向も見てみたかったので、このようになりました。
対象楽曲
次に、彼らのイメージ(つまりは各グループの"~っぽさ"や”~らしさ”)により影響しやすいのは、テレビや有線放送等で耳にする機会の多い「シングル表題曲」であると考えました。
実際にわたしがぼんやり事務所担をしているなかで「ここのグループは~っぽい」とシングル曲の歌唱を見て感じることがしばしばあったので、それが実際にどうなっているのかを確かめたかったからでもあります。(ほんとうはカップリング曲やアルバム曲も含めたかったのですが、どうにも提出までの時間が足りませんでした。無念……)
そこで今回は、前項で示した15組が平成期に発表したシングル表題曲(両A面*6・トリプルA面*7・DVDシングル*8を含む)のうち、一般に流通しない配信限定シングル・別名義*9の楽曲を除いた全544曲を分析の対象とします。
544曲、(合間合間に挟まれるトンチキソングに苦しめられながら)全部歌詞を隅から隅まで読んで分類しました。とてもつらかったです……(遠い目)
( ↑ 途方もない一覧表(の一部)*10)
分析内容
今回の歌詞分析では、対象楽曲の歌詞を読みこんでジャンル及びテーマ別*11に分類し、その傾向と変遷を探る内容分析を行いました。
実際の卒業論文ではKH Coderを用いた頻出語・特徴語の分析等も行いましたが、(本文の文量の関係上)最後におまけとしてさらっとくっつけておこうと思います。
ジャンル/テーマの分類
歌詞のジャンルと変遷
分析対象とした全544曲の歌詞をジャンルごとに分類したところ、【図1】のような結果となりました。
最も多いジャンルが「恋愛」で40%(217曲)、次いで「応援」が35%(192曲)、そのどちらでもない「その他」*12が25%(135曲)でした。
このことから、彼らの歌う楽曲の二大ジャンルが「恋愛」と「応援」であることがわかります。
次に、平成期を5年ごとの期間*13で区切り、その期間にリリースされた楽曲のジャンルの比率を示したものが【図2】です。
多少の比率の変動があるものの、[2009~2013(平成16~20)年]の期間を除けば、【図1】と同じく「恋愛」>「応援」の比率となりました。
ジャニーズ全体で見ると、彼らと「恋愛」との関係はやはり切っても切り離せないようです。
また、【図3】では全15組のグループ別に歌詞のジャンルの比率を示しました。
「恋愛」の比率が最も高いのはKinKi Kids(71%)で、最も低いのはジャニーズWEST(24%)でした。
KinKi Kidsのシングルにおける「恋愛」の比率は、(平成最後にデビューしたために)シングル数の少なさも相まって「恋愛」の割合が多いKing&Princeよりも4%多く、キンキ兄さんの貫禄を感じます(?)
一方で、「応援」の比率が最も高いのはジャニーズWEST(65%)で、最も低いのはKinKi Kids(13%)であったことから、この時点でKinKi KidsとジャニーズWESTの楽曲が担うアイドル像は対極にあるといえます。関西イズムは同じなのに不思議なものですね……(?)
一方で、バレーボールワールドカップのイメージキャラクターとして結成・デビューしたV6・嵐・NEWS・Hey! Say! JUMP・Sexy Zoneの5組のうち、
デビューの早いV6・嵐・NEWSの3組が「応援」>「恋愛」であるのに対し、デビューが比較的最近であるHey! Say! JUMPは「恋愛」=「応援」・Sexy Zoneは「恋愛」>「応援」という結果が出ました。
この5組は他のグループに比べると、デビューから時期が開いてもスポーツ中継のテーマソングなどに起用されることが度々あるため、様々な応援歌を世に送り出してきていますが、
【図3】を見るとHey! Say! JUMP以降のグループは(飛びぬけて「応援」の多いジャニーズWESTを除き)ほとんどが「恋愛」>「応援」であることから、平成期後半にデビューした男性アイドルは「恋愛」の楽曲に重きを置いていることが見てとれます。
ここからは二大ジャンルである「恋愛」と「応援」についてテーマの分類を行い、さらに分析を行うこととします。
「恋愛」のテーマ分類
「恋愛」のテーマを分類にするにあたって、伊藤(2015)に倣い「過去未練型」「過去非未練型」「過去追憶型」「過去片思型」「現在不安型」「現在冷却型」「現在進行型」「未来期待型」の9タイプと、冨永(2015)に倣い「現在未練型」「現在再燃型」の2タイプを用いました。
さらに、この11タイプに加えて新たにわたしのほうで「現在約束型」を設け、計12種類(分類ができなかった歌詞は「その他」*14として分類)のテーマに分類することとしました。
以下に全テーマとその例となる楽曲の一覧を示します。
なお、曲名には歌ネットの該当歌詞ページのリンクを貼っていますので、もしご入用であればご利用ください。
- 過去未練型:すでにふられて、もう終わった恋なのに、まだ相手に未練があり、次の恋に踏み出せないでいる心理を語った歌詞。例:KinKi Kids「硝子の少年」(1997)/NEWS「さくらガール」(2010)
- 過去非未練型:もう終わった恋の相手には未練がなく、次の恋に向かって歩き出そうとしている心理を語った歌詞。例:TOKIO「フラれて元気」(1997)/関ジャニ∞「関風ファイティング」(2006)
- 過去追憶型:遠い過去の恋を懐かしく振り返っている心理を語った歌詞。例:V6「僕と僕らのあした」(2007)/KAT-TUN「WHITE」(2011)
- 過去片思型:過去の片思いの恋を懐かしむ心理を語った歌詞。例:TOKIO「溢れる想い」(1999)/嵐「愛を叫べ」(2015)
- 現在不安型:いまの恋がもうすぐ冷めるのではないかという不安を語った歌詞。例:V6「Darling」(2003)/タッキー&翼「山手線内回り~愛の迷路~」(2015)
- 現在冷却型:相手に対しての恋心が冷めている心理を語った歌詞。例:V6「蝶」(2008)
- 現在進行型:いま続いている楽しい恋の心理を語った歌詞。例:NEWS「チェリッシュ」(2005)/Sexy Zone「よびすて」(2016)
- 現在片思型:いま片思いをしている切ない恋の心理を語った歌詞。例:Hey! Say! JUMP「Come On A My House」(2013)/関ジャニ∞「言ったじゃないか」(2014)
- 現在約束型:いま相思相愛の相手に対して、将来を約束する心理を語った歌詞。例:嵐「One Love」(2008)/King & Prince「シンデレラガール」(2018)
- 現在未練型:相思相愛の恋人たちが、その意志に反して別離する様子を描いた歌詞。例:嵐「Dear Snow」(2010)/Kis-My-Ft2「HOME」(2018)
- 現在再燃型:一度恋が冷めた後、よりを戻す様子を描いた歌詞。例:SMAP「君色思い」(1994)/嵐「復活LOVE」(2016)
- 未来期待型:恋の予感を感じ、未来に起こるであろう恋に期待を寄せている心理を語った歌詞。例:関ジャニ∞「奇跡の人」(2017)*15
以上を踏まえ、3.1.1.で「恋愛」ジャンルに分類した全217曲をテーマ別に集計した結果が【図4】です。
1位が「現在進行型」で54曲(25%)、2位が「その他」*16で46曲(21%)、3位が「過去未練型」で29曲(13%)、4位が「現在約束型」で25曲(12%)、5位が「現在片思型」で21曲(10%)となりました。
(「その他」を除いた)上位4タイプに共通するのは「恋をした相手だけを一途に想っている」という点であり、このことから、彼らが歌う「恋愛」楽曲に求められているのは「相手に対して一途でまっすぐな男性像」であるといえます。
わたしとしては、正直こんなに顕著に出るとは思っていませんでした。めちゃめちゃ一途……
また、【図5】で示した5年ごとの「恋愛」テーマ比率の変遷では、「過去未練型」を含む「過去の恋愛」をテーマとした歌詞が全体として減少傾向に見られる一方で、
「現在約束型」と「未来期待型」に代表される、「未来に向かう恋」をテーマとした歌詞が徐々に比率を伸ばしていることがわかります。
平成期が進むにつれて、彼らは「過去の思い出に縋る」よりも「幸せな恋をしよう(したい)」と歌うようになったと推察できます。
「応援」のテーマ分類
「応援」のテーマの分類は先行研究に存在しなかったため、「決意表明型」「現状肯定型」「七転八起型」「鼓舞歌唱型」「相互鼓舞型」「選手応援型」の全6タイプ(分類ができなかった歌詞は「その他」として分類)をわたしが独断で設けました。
以下に全テーマとその例となる楽曲を示します。
- 決意表明型:アイドル側が未来への決意を語ることで、聴き手側がその姿に共鳴して鼓舞される、という構図をとる歌詞。例:NEWS「星をめざして」(2007)/A.B.C-Z「Za ABC~5stars~」(2012)
- 現状肯定型:ダメな現状を肯定しつつも、それでも前向きに進んでいこうと聴き手の背中を押す歌詞。例:SMAP「がんばりましょう」(1994)/ジャニーズWEST「ホメチギリスト」(2018)
- 七転八起型:「たとえ挫折しても何度でも立ち上がろう」という心理が語られた歌詞。例:嵐「きっと大丈夫」(2006)/Kis-My-Ft2「We never give up!」(2011)
- 鼓舞歌唱型:聴き手を強い語調で鼓舞する歌詞。例:Hey! Say! JUMP「Your Seed」(2008)/関ジャニ∞「ここに」(2018)
- 相互鼓舞型:聴き手を鼓舞しつつ、歌っているアイドル側も自らを鼓舞する歌詞。例:KinKi Kids「フラワー」(1999)/KAT-TUN「Keep the faith」(2007)
- 選手応援型:スケールの大きな挑戦*17について語る歌詞。例:NEWS「WORLD QUEST」(2012)/Sexy Zone「勝利の日まで」(2016)
以上を踏まえ、3.1.1.で「応援」ジャンルに分類した全192曲をテーマ別に集計した結果が【図6】です。
1位が「鼓舞歌唱型」で56曲(29%)、2位が「現状肯定型」で53曲(28%)、3位が「決意表明型」で32曲(17%)となりました。
このうち「鼓舞歌唱型」と「現状肯定型」は、聴き手に対して語り掛ける(もしくは鼓舞する)歌詞であり、彼らと聴き手との距離が比較的近いように受け取ることができます。
太田(2016)によれば平成期はバブル崩壊や度重なる天災などの社会的な不安要素が多かったと指摘されており、そのような不安な時代においての彼らは「聴き手のうまくいかない現実に寄り添って励ましてくれる存在」であることを求められてきたのでは、と推察ができます。
また、【図7】に示したのは5年ごとの応援テーマの比率変遷です。
年代が下るにつれて各テーマの比率が大きく変動しており、「応援」ソングの多様化を感じさせます。
グループ別の考察
ここからはグループ別の考察に移りたいと思います。それに先立って、【図8】~【図11】の4つの図を示します。
卒論で提出したグラフの(ほぼ)マジのデータなので、お見苦しい点が多々あるかもしれません……Excel初心者なもので……
この4つの図に示したデータを基につらつら記述しますが、適宜グラフへ戻ったり別窓でポップアップにしておいたりしていただけると、さらにスムーズかと思います。
とはいえ、グラフをいちいち見なくても何となくわかるように書いておくのでご安心を(?)
※なお、シングルの傾向と変遷を5年ごとで見るために、平成期の活動期間が5年以内のジャニーズWEST・King&Princeの2組はこの考察の対象外とします。すみません……!
SMAP・TOKIO:平成期の先駆者
SMAP
「恋愛」では「現在不安型」(20%)が最も多く、平成期のジャニーズ全体で見ても最多の比率となりました。
時代を経るにつれて「現在不安型」の全体での比率が減少している(【図5】参照)にもかかわらず、彼らは比較的に継続して「現在不安型」の楽曲を発表しており、彼らは時代の流れに迎合せずに「不安な恋」を歌うことで聴き手に寄り添ってきたと考えられます。
ちなみに、わたしが伊藤(2015)の記述を読む限りでは、「現在不安型」はどちらかといえば昭和歌謡の流れを汲んでいるのではないかなと思っています。
【SMAPの主な「現在不安型」の楽曲】
「応援」では「現状肯定型」(59%)が最も多く、男性アイドル全体で見ても最多の比率となりました。
デビューから変わらずに聴き手の背中を押してきた彼らですが、5年ごとの期間に分けて見てみると、唯一[2014~2019(平成26~31)年]においては1曲も「応援」の楽曲が存在しません。これが奇しくも彼らの解散時期とぴったり重なることに気づいてしまったときのわたしは……とてもつらかったです……(※突然の語彙力放棄)
【SMAPの主な「現状肯定型」の楽曲】
- 「がんばりましょう」(1994年)
- 「Dear WOMAN」(2006年)
- 「Joy!!」(2013年)
TOKIO
「恋愛」では「現在進行型」(30%)が最も多く、(「その他」を抜いて)次点の「現在片思型」(20%)とともに「相手に対する純粋な想いを語った歌詞」が特徴となりました。
彼らの「恋愛」ジャンルの楽曲数は年月とともに減少していますが、「現在進行型」の楽曲は全年代を通して歌われており、彼らが表現するのは「まっすぐに相手を愛する男性像」であることがわかります。
なお、「現在進行型」の例として下に挙げた3曲は、それぞれ布袋寅泰さん・つんく♂さん・玉置浩二さんの提供曲だそうです。錚々たる面々!
【TOKIOの主な「現在進行型」の楽曲】
- 「愛の嵐」(1999年)
- 「愛はヌード」(2000年)
- 「NaNaNa(太陽なんていらねぇ)」(2010年)
「応援」では「鼓舞歌唱型」(44%)が最も多く、彼らがデビューから継続して歌ってきたテーマであることが【図11】でわかります。しかし、唯一[2014~2019(平成26~31)年]においては1曲も「鼓舞歌唱型」の歌詞が存在していません。
【TOKIOの主な「鼓舞歌唱型」の楽曲】
TOKIOの楽曲は、2013年発売の「ホントんとこ/Future」以降のシングルにおいては長瀬くんがすべて作詞を担当していて、これは彼の描きたかったTOKIOの形が、それまでのTOKIOが表現してきたものとは異なることが示されているのかな、と思います。
V6・嵐:大衆的なアイドル(現状肯定)
V6
「恋愛」では「過去未練型」(31%)が最も多く、男性アイドル全体としては「過去未練型」が減少傾向にあるものの、V6は継続してこのタイプの楽曲を発表していて、彼らが表現するのが「過去の恋人を忘れられない男性像」であることがわかります。
この結果はちょっと意外でした。でも個人的には、V6兄さんには何となく「大人の恋」のイメージがあったので、然もありなんとも言えるのかもしれません。
余談:「過去未練型」にはイノッチの主演ドラマ『警視庁捜査一課9係』の主題歌群から3曲もランクイン(?)していたので、おそらくその影響かなあと思っている次第です。パブリックイメージが超クリーンなイノッチに未練がましさを背負わせた人々、すごい(すごい)(※褒めてる)
【V6の主な「過去未練型」の楽曲】
- 「出せない手紙」(2001年)
- 「only dreaming」(2010年)※『9係』主題歌
- 「君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか」(2013年)※『9係』主題歌
「応援」では「現状肯定型」(33%)が最も多く、彼らは活動の全年代を通して聴き手の背中を押し続けてきたことがわかります。
【V6の主な「現状肯定型」の楽曲】
- 「Feel your breeze」(2002年)
- 「HONEY BEAT」(2007年)
- 「バリバリBUDDY!」(2012年)
また、「鼓舞歌唱型」の減少と同時に「七転八起型」の増加が見られます。これはジャニーズ全体でも同じ傾向があり、V6が時代の流れに合わせて「応援」のスタイルを変えてきていることがわかります。
【V6の主な「七転八起型」の楽曲】
- 「ROCK YOUR SOUL」(2012年)
- 「Sky's The Limit」(2014年)
- 「ハナヒラケ」(2017年)
嵐
「恋愛」では「現在進行型」と「現在片思型」が同率(24%)で最も多くなりました。つまり:とにもかくにも一途。なお、「現在片思型」はジャニーズ全体で見てもいちばん比率が高い結果でした。
「現在進行型」は[2009~2013(平成21~25)年]以前のリリースにとどまっているのに対して、「現在片思型」は継続的に発表されていて、この期間に彼らが「恋愛」テーマを転換したことが見てとれます。と言っても、「恋愛」ジャンルの楽曲はタイアップするドラマの内容やメンバーの役どころなんかに影響を受けやすいので、時代の流れの変化や、彼らが年齢を重ねたことも関係しそうです。
【嵐の主な「現在進行型」の楽曲】
- 「Love so sweet」(2007年)
- 「Lφve Rainbow」(2010年)
【嵐の主な「現在片思型」の楽曲】
- 「Crazy Moon~キミ・ハ・ムテキ~」(2009年)
- 「Bittersweet」(2014年)
- 「I seek」(2016年)
また、他の現在軸のテーマも含めると、彼らの「恋愛」楽曲はほとんどが「現在の恋」の話をしていることがわかります。
加えて、「過去未練型」は最初期の[1999~2003(平成11~15)年]の期間でのみ歌われており、以降の彼らが「現在の恋」を見据え、前を向いて歌を歌うようになった様が見られます。(単純に時代の変化が強そうではありますが)
「応援」では「現状肯定型」(27%)が最も多く、比較的継続して聴き手の背中を押してきたことがわかります。
【嵐の主な「現状肯定型」の楽曲】
- 「ハダシの未来」(2003年)
- 「Troublemaker」(2010年)
- 「Daylight」(2016年)
また、比率としては低いものの、「選手応援型」の楽曲を最も多く発表している(計4曲)のは彼らであり、このことから、彼らは世間一般に広く「応援」のイメージを持たれ、そして彼らがそれをしっかりと背負っていると推察されます。日テレさん、いつもありがとうございました……!(?)*19
【嵐の主な「選手応援型」の楽曲】
- 「Hero」(2004年)※アテネオリンピック(日テレ)
- 「風の向こうへ」(2008年)※北京オリンピック(日テレ)
- 「Power of the Paradise」(2016年)※リオオリンピック(日テレ)
- 「夏疾風」(2018年)※夏の甲子園(ABC朝日放送)
KinKi Kids・タッキー&翼:似て非なるデュオ
KinKi Kids
「恋愛」では「現在約束型」(29%)が最も多く、(「その他」を除いて)次点の「過去未練型」(18%)とともに全年代を通して歌われており、両テーマを鑑みると、彼らが表現しているのが「(過去・現在の時間軸を問わず)愛情の重い男性像」であるといえます(とてもすみません)
また、彼らの歌う「恋愛」のテーマは全部で8種類(※「その他」を除く)あり、分析対象の全15組の中で最もテーマの種類が多いことが判明しました(※なお嵐さんと同率トップでした!)
ジャンルの項で示した通り、彼らの楽曲は「恋愛」ジャンルの比率が71%と最も多いため、多種多様な恋の心理を歌う機会が与えられているのだと推察されます。
【KinKi Kidsの主な「現在約束型」の楽曲】
- 「全部だきしめて」(1998年)
- 「もう君以外愛せない」(2000年)
- 「ボクの背中には羽根がある」(2001年)
「応援」では「決意表明型」(33%)と「現状肯定型」(33%)が最も多いものの、彼らの楽曲には「応援」ジャンルの比率が15%と最も少なく、そもそも「応援」自体が歌われていない期間もあります。そのため、彼らのイメージ形成の主軸が「恋愛」であることが如実に表れる結果となりました。
【KinKi Kidsの「決意表明型」の楽曲(※全2曲)】
- 「愛されるより 愛したい」(1997年)
- 「永遠のBLOODS」(2003年)
【KinKi Kidsの「現状肯定型」の楽曲(※全2曲)】
- 「夏の王様」(2000年)
- 「夢を見れば傷つくこともある」(2015年)
タッキー&翼
「恋愛」では「現在進行型」と「未来期待型」が同率(15%)で最も多く、恋に対してポジティブであることがわかります。
【タッキー&翼の主な「現在進行型」の楽曲(※全2曲)】
- 「愛はタカラモノ」(2010年)
- 「僕のそばには星がある」(2014年)
【タッキー&翼の主な「未来期待型」の楽曲(※全2曲)】
しかし、「過去未練型」は[2004~2008(平成16~20)年]を最後に発表されておらず、代わりに「未来期待型」が増加したことから、先述したジャニーズ全体の傾向と同じように、彼らも時代の流れに合わせて「過去の思い出に縋る」よりも「幸せな恋をしよう(したい)」と歌うようになったことが見てとれます。
「応援」では「鼓舞歌唱型」(40%)が最も多いものの、タッキー&翼はKinKi Kidsに次いで「恋愛」ジャンルの比率が65%と高く、彼らのイメージ形成の主軸が「恋愛」であることが如実に表れる結果となりました。
【タッキー&翼の「鼓舞歌唱型」の楽曲(※全2曲)】
- 「One Day, One Dream」(2004年)
- 「PROGRESS」(2008年)
YOU&J*20:脱退と転換
NEWS
「恋愛」では(「その他」を除いて)「現在進行型」「過去未練型」「未来期待型」(20%)が同率トップの形となりました。
5年ごとの傾向を見ると、年月を経て「未来期待型」が消滅するとともに「過去未練型」の増加が見られ、男性アイドル全体の傾向と真逆の様相が見てとれます。
【NEWSの「現在進行型」の楽曲(※全2曲)】
【NEWSの「過去未練型」の楽曲(※全2曲)】
- 「さくらガール」(2010年)
- 「恋を知らない君へ」(2016年)
【NEWSの主な「未来期待型」の楽曲(※全2曲)】
- 「SUMMER TIME」(2008年)
- 「チャンカパーナ」(2012年)*21
NEWSは2012年に山Pと錦戸くんが脱退して以降は4人体制で活動*22しており、それは「恋愛」の傾向が変わった時期と重なっています。
このことから、メンバーの減少(=メンバー構成の変化)が男性アイドルの表現する「恋愛」イメージを転換させる一つの要因であることが推察されます。
一方、「応援」では「鼓舞歌唱型」(31%)が最も多く、次点が「決意表明型」「選手応援型」(ともに23%)となりました。
【NEWSの主な「鼓舞歌唱型」の楽曲】
- 「希望~Yell~」(2004年)
- 「Fighting Man」(2010年)
- 「「生きろ」」(2018年)
【その他言及されたテーマの楽曲】
- 「星をめざして」(2007年)※決意表明型
- 「WORLD QUEST」(2012年)※選手応援型
このうち、「決意表明型」は[2004~2008(平成15~20)年]以前、「選手応援型」は[2009~2013(平成21~25)年]以後にしか発表されていません。前者は6人体制になる際に「星をめざして」を発表したのが最後で、後者は4人体制になってから「WORLD QUEST」を発表したのが最初となっています。
よって、「応援」ジャンルの楽曲においても、メンバー構成の変化が「応援」イメージを転換させる一つの要因であることが推察されます。*23
関ジャニ∞
「恋愛」では「過去未練型」(33%)が最も多く、男性アイドル全体で見ても最多の比率となりました。平たく言えば「未練がましい」ということに(すみません)
余談:2009年に3日連続で発売された「GIFT」シリーズから4曲もノミネート(?)されており、冬のラブソングと未練がましさには関係がありそうな予感がすごくしました。
しかし、この「過去未練型」は[2014~2019(平成26~31)年]には1曲も発売されておらず、この期間において彼らが歌う「恋愛」イメージを転換させたことが窺えます。
【関ジャニ∞の主な「過去未練型」の楽曲】
- 「大阪レイニーブルース」(2005年)
- 「大阪ロマネスク」(2006年)
- 「冬恋」(2009年)※「GIFT~白~」収録
このふたつの代わりに増加したのは「現在約束型」と「未来期待型」であり、先述したジャニーズ全体の傾向と同じように、彼らも時代の流れに合わせて「過去の思い出に縋る」よりも「幸せな恋をしよう(したい)」と歌うようになったことが見てとれます。
【その他言及されたテーマの楽曲】
「応援」では「鼓舞歌唱型」(50%)が最も多く、特に先ほどの【図11】のグラフを見ると、[2014~2019(平成26~31)年]の伸びが凄まじいことになっています。
【関ジャニ∞の主な「鼓舞歌唱型」の楽曲】
- 「前向きスクリーム!」(2015年)
- 「NOROSHI」(2016年)
- 「ここに」(2018年)
この時期に彼らに起きた出来事としては、デビュー10周年を迎えた2014年、デビュー当時から所属していたテイチクエンタテインメントを離れ、自主レーベル「INFINITY RECORDS」を立ち上げたことが挙げられます。
ここで新たなスタートを切った彼らは、「聴き手の辛い現実に寄り添って傍で応援する存在」から、「聴き手を強く鼓舞する存在」へと転換したのだといえます。
KAT-TUN
「恋愛」では、割合としては「現在進行型」(25%)が最も多いものの、[2014~2019(平成26~31)年]の期間には1曲も発表されていません。
【KAT-TUNの「現在進行型」の楽曲(※全2曲)】
- 「LIPS」(2008年)
- 「Love yourself ~君が嫌いな君が好き~」(2010年)
この転換に重なる出来事として、2013年に田中聖くんが脱退したことが挙げられます。
先ほどNEWSの項目でも「メンバーの減少(=メンバー構成の変化)がグループの表現する「恋愛」イメージを転換させる一つの要因であることが推察される」と述べましたたが、KAT-TUNにおいても同様の現象が起きていることが見てとれます。
一方、「応援」においても同様の現象が見られます。最も多いのは「鼓舞歌唱型」(60%)で、ジャニーズ全体で見てもいちばん比率が高くなっています。しかし、このタイプの楽曲が発表されるのは2010年に脱退した赤西仁くんがシングルの歌唱に参加しなくなって以降となっています。
【KAT-TUNの主な「鼓舞歌唱型」の楽曲】
- 「CHANGE UR WORLD」(2010年)
- 「RUN FOR YOU」(2011年)
- 「不滅のスクラム」(2012年)
また、次点の「相互鼓舞型」(27%)は、聖くんが所属していた[2009~2013(平成26~31)年]以前にしか発表されていません。
【KAT-TUNの「相互鼓舞型」の楽曲(※全2曲)】
- 「Keep the faith」(2007年)
- 「ULTIMATE WHEELS」(2011年)
以上により、KAT-TUNはメンバー構成の変遷とともに「恋愛」「応援」のテーマを変え、KAT-TUNというグループの持つイメージの刷新を図ったと推察されます。
Hey! Sαy! JUMP・Sexy Zone:幸せな恋の伝道師
Hey! Sαy! JUMP
「恋愛」では「未来期待型」「現在進行型」(ともに25%)が最も多く、「未来期待型」はジャニーズ全体で見てもいちばん比率が高くなりました。
【Hey! Sαy! JUMPの主な「未来期待型」の楽曲】
- 「愛すればもっとハッピーライフ」(2014年)
- 「Chau #」(2015年)
【Hey! Sαy! JUMPの主な「現在進行型」の楽曲】
- 「ウィークエンダー」(2014年)
- 「キミアトラクション」(2015年)
また、「現在約束型」(17%)を含めると、彼らの歌う「恋愛」は半数以上が「(現在もしくは未来の)幸せで楽しい恋」についての歌詞であることがわかり、【図5】のジャニーズ全体の「恋愛」テーマ変遷の傾向と一致します。
【Hey! Sαy! JUMPの主な「現在約束型」の楽曲】
- 「真剣SUNSHINE」(2016年)
- 「White Love」(2017年)
一方、「応援」では「鼓舞歌唱型」(42%)が最も多い結果となりました。
【Hey! Sαy! JUMPの主な「鼓舞歌唱型」の楽曲】
- 「Your Seed」(2008年)
- 「明日へのYELL」(2014年)
- 「マエヲムケ」(2018年)
また、次点の2種類のうち「相互鼓舞型」(25%)は、ジャニーズ全体で見ると最多の比率となりました。
【Hey! Sαy! JUMPの主な「相互鼓舞型」の楽曲】
- 「Dreams come true」(2008年)
- 「OVER」(2011年)
- 「Ride With Me」(2013年)
「相互鼓舞型」は彼らの活動期間の前半部分を通して発表されていることから、「聴き手を応援するとともに、自分たちも頑張る姿を見せていく存在」というイメージ形成を図っていたと推察されます。
Sexy Zone
「恋愛」では「現在進行型」(56%)が最も多く、ジャニーズ全体で見ても最多となりました。(令和に入ってからはかっこいい曲が増えてきてそんな印象はあまり無いんですが、平成だけで区切ると「恋愛」の曲が多いようです)
【Sexy Zoneの主な「現在進行型」の楽曲】
- 「Lady ダイヤモンド」(2012年)
- 「よびすて」(2016年)
- 「すっぴんKISS」(2018年)
また、本節の分析対象となった全13組のうち、セクゾには唯一「過去の恋」と「相手への未練」についての歌詞が存在しません。ジャニーズ全体の傾向を鑑みると、彼らは時代の変化に迎合し、「『幸せで楽しい恋』の伝道師」(仰々しくてすみません(?))としてのイメージ形成を図ったといえます。
一方、「応援」では「決意表明型」と「選手応援型」が同率(33%)で最も多く、このうち「決意表明型」が彼らの活動期間の全年代を通して発表されていることから、最年少でデビューした彼らが「これからどんどん成長していく」様子を定期的に表現しているともとれます。
【Sexy Zoneの主な「決意表明型」の楽曲(※全2曲)】
- 「Sexy Zone」(2011年)
- 「イノセントデイズ」(2018年)
【Sexy Zoneの主な「選手応援型」の楽曲(※全2曲)】
- 「Cha-Cha-Cha チャンピオン」(2015年)
- 「勝利の日まで」(2016年)
Kis-My-Ft2・A.B.C-Z:決意と約束
Kis-my-Ft2
「恋愛」では「現在進行型」(24%)が最も多く、次点は「現在約束型」「現在片思型」「未来期待型」(ともに18%)でした。
【Kis-my-Ft2の主な「現在進行型」の楽曲】
- 「SHE! HER! HER!」(2012年)
- 「S.O.S (Smile On Smile)」(2013年)
- 「君、僕。」(2018年)
【その他言及されたテーマの楽曲】
- 「SNOW DOMEの約束」(2013年)※現在約束型
- 「Luv Sick」(2013年)※現在片思型
- 「アイノビート」(2012年)※未来期待型
この4種類が彼らの活動期間の全年代を通して発表されていることから、「一途に相手を想う男性像」を彼らが表現していることが見てとれます。
また、[2014~2019(平成26~31年)]においては「過去未練型」と「現在未練型」の楽曲が新たに加わっていますが、これらは彼らが年齢を重ねる(=大人になる)ことで歌うことができるようになったテーマであると推察されます。
【Kis-my-Ft2の主な「過去未練型」の楽曲(※全1曲)】
- 「君を大好きだ」(2019年)
【Kis-my-Ft2の主な「現在未練型」の楽曲(※全1曲)】
- 「HOME」(2018年)
一方、「応援」では「決意表明型」と「現状肯定型」が同率(33%)で最も多い結果となりました。
このうち、「決意表明型」が彼らの活動期間の全年代を通して発表されていることから、「等身大で頑張る姿」を彼らが表現していることが見てとれます。
【Kis-my-Ft2の主な「決意表明型」の楽曲】
- 「Everybody Go」(2011年)
- 「Gravity」(2016年)
- 「SEVEN WISHES」(2017年)
【Kis-my-Ft2の主な「現状肯定型」の楽曲】
- 「光のシグナル」(2014年)
- 「Thank youじゃん!」(2014年)
- 「AAO」(2015年)
また、[2014~2019(平成26~31)年]においては、「鼓舞歌唱型」の楽曲が無くなった代わりに「現状肯定型」の楽曲が新たに発表されており、こちらも彼らが年齢を重ねる(=大人になる)ことで「聴き手に寄り添う」歌を歌うことができるようになったテーマであると推察されます。
A.B.C-Z
「恋愛」では「現在約束型」(57%)が最も多く、これは本節で分析対象とした男性アイドルグループの中では最多の比率です。また、このタイプの楽曲が彼らの活動期間の全年代を通して発表されていることから、彼らは「永遠の恋を約束してくれる王子様のような男性像」を表現しているといえるのかもしれません(相変わらず仰々しくてすみません)
【A.B.C-Zの主な「現在約束型」の楽曲】
- 「ずっとLOVE」(2012年)
- 「Never My Love」(2013年)
- 「花言葉」(2016年)
一方、「応援」では「決意表明型」(57%)が最も多く、ジャニーズ全体で見てもいちばん比率が最多となりました。
【A.B.C-Zの主な「決意表明型」の楽曲】
- 「Za ABC~5stars~」(2012年)
- 「Take a "5" Train」(2016年)
- 「Reboot!!!」(2017年)
また、このタイプの楽曲が彼らの活動期間の全年代を通して発表されているのは、ジャニーズJr.の頃に結成され、長年の間バックダンサーとして活動してきた彼らが、ようやく掴んだ「デビューという『夢』を継続していく」と決意した様子ととれる歌詞が多いためではないかと推察されます。
おまけ
卒論執筆時にKH Coderでいろいろ試みたものの、上手いこと分析しきれなかったデータたちをここで供養しておきます。
まずこちらは全楽曲の頻出語と、年代ごとの頻出語・特徴語です。ピンク色が「恋愛」に関する語、水色が「応援」に関する語となっています。
次にこちらは、年代ごとの共起ネットワーク図です(もうあやふや)
全年代で「君」「僕」「夢」の話をしていることがわかりますね。これを見たときのわたしは(めっっっっっっちゃアイドルやん……)と思うなどしました。もう少し読み解ければいいのですが、それは今後の課題ということにしておきましょう(?)
まとめ
今回の分析においてわかったのは、彼らのイメージを類型化するのが難しいということでした。
歌詞とは一種の表現方法であり、それを歌い踊る彼ら自身の表現の一助となるものです。
しかし、男性アイドルたちがグループごとに担うイメージは、当初の想定以上に多種多様でした。
その多種多様さこそが、事務所内でさえしのぎを削る彼らが、怒涛の平成期を駆け抜けてきた証左でもあるでしょう。
また、平成期後半に「現在約束型」「未来期待型」に代表される「楽しい恋の歌」が増えているため、令和期のアイドルがその流れを引き継ぐのかが、個人的な注目ポイントでもあります。
令和期のジャニーズ
それでは、令和期のジャニーズはどうなっていくのでしょうか?
まず言及しなければならないのが、2020年1月22日にジャニーズ事務所初の同時デビューを果たし、勢いに乗っている「SixTONES」と「Snow Man」です。
前者はX JAPANのYOSHIKIさんが作詞・作曲を手掛ける「Imitation Rain」、後者は栗原暁(Jazzin’park)さん作詞の「D.D.」がデビュー曲です。
この2曲をジャンル/テーマ分類すると、どちらも「恋愛」にも「応援」にも属さない「その他」ジャンルの楽曲にはなりますが、往年の先輩グループのデビュー時と変わらず、「前に向かって進んでいく勢いの強さ」がどちらの曲からも見てとれます。
さらに、2021年11月12日にデビューしたばかりの「なにわ男子」は、キラキラの王道アイドルラブソング「初心LOVE」(※類型としては「現在進行型」)をデビューシングルとして発売しており、今後のシングル動向が注目されます。
また、いまや各方面で活躍するジャニーズJr.の面々が有するオリジナル曲も、1曲1曲に彼らの「色」が強く出ていると感じられるので、分析してみると面白いのではないかと感じています。
次世代を担うアイドルたちがどんなふうに成長していくのか、また、どのようなアイドル像を表現していくのかがとても楽しみで仕方がありません。
今後の展望
本論では手が及びませんでしたが、今後は昭和期・令和期の男性アイドルについても同様に分析を行い、時代によって彼らのイメージがどのように変遷してきたのかを分析してみたらおもしろいかな~~と画策しています。
そうすることで、「平成期」という時代がどのような時代で、その時代に生きた男性アイドルたちがどんな歌を歌うのかが、他の時代との比較でわかるのではないかと思うからです。
また、こちらも本論では手が及ばなかったんですけど、二次元の男性アイドル(アニメ・ゲーム等に登場するアイドル)の楽曲の内容分析もしてみたいと考えています。
たとえば「応援」のジャンルにおいては、ジャニーズ全体では「現状肯定型」が最も多いが、二次元の男性アイドルは聴き手の現実に対しては言及せず、ただただ夢に向かって走っていく姿を歌ったもの(=「決意表明型」)が多いように感じられる――といったように、歌詞分析という手法で分析したい対象は大いにあるので、今後ものんびり分析を続けます~~!
おわりに
「このエントリを書かねばわたしの2020年(と平成)は終われねえ!!!!」という強い気持ち(?)でキーを叩きました。などと言いつつもう2022年ですけども。
卒論を提出してからのこの2年間は、嵐さんが活動休止したものの、新たにジャニーズWEST・Snow Man・なにわ男子・Aぇ! groupの4組に沼り、元気にジャニオタ人生を楽しんでいます。きっと一生ジャニーズ(事務所)を推していくし、一生わたしの研究対象なんだろうな~~とぼんやり思っているきょうこの頃です。
肝心の卒論はといえば、マジでほんとうにつらかったです。つらかった。実を言うと、データ集めから提出までたった1ヶ月という難産&早産だったんですが、2週間ほど連続で徹夜してどうにか完成させました。おかげで2年越しに凡ミスに気づくハメになりましたが、まあよしとしましょう(?)(とてもよくない)(結局544曲読み直した)
入学時には歌詞分析のカの字も無く、気づいた頃にはすっかり転がり落ちていましたが、たまたまわたしがいたゼミは「好きなこと研究しなよ〜〜」って土壌だったので助かりました。もしも「お前のこと大学で見かけたかも?」と思う方がいたらどうぞそっとしておいてください。わたしは元気です(?)
生活が死にかけだったわたしを温かく見守ってくださった指導教員のT先生、いつも菩薩のようだった教務のM先生、口頭試問を寛大な心で行なってくださったU先生、そして多大なるご心配をおかけした第二外国語のY先生とN先生に、心からの感謝を!(まあまあアルファベット使ったな)
あとそういえば、私は1年留年して5年で大学を卒業しているんですが、卒論のコピーを渡したとある後輩*24に
「先輩がふつうに卒業してたら平成は終わってませんでしたし、もしかしてこの卒論を書くために留年したのでは?」
と言われたことを、このエントリを書きながらふいに思い出して、何故か腑に落ちました。(実際は単に体調不良でしたが)そういうことにしておきましょう!!!!!(?)(ポジティブ)
最後になりますが、様子のおかしい卒論のポスター発表の模様をお届けして締めたいと思います。論文のタイトルをうちわ文字にするのがたのしかったです(?) 一緒に徹夜で手伝ってくれたOちゃん、セクシーサンキュー!
ここまで読んでいただきありがとうございました~~!!!! 長いエントリになりましたが、楽しんでいただけていれば幸いです!
参考文献
・伊藤雅光(2017)『Jポップの日本語研究―創作型人工知能のために―』朝倉書店*25
・太田省一(2016)『SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテイメント』光文社新書
・冨永愛(2015)「いきものがかり・水野良樹と山下穂尊の歌詞に関する文体的特徴分析:計量言語学的手法による」『東京女子大学 学術情報リポジトリ』
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*1:わたしが嵐さんと出会ってからの10年+αの話(とても長い)はこちらのエントリで読めます。もしよければ……
*2:テレビアニメ『スタミュ』の歌詞分析の痕跡がいくつか残してあります。未視聴の方は(わたしの分析のことは置いといて)ぜひ本編をご覧になってください。後生なので……!!!!(?)
*3:本論では活動期間があらかじめ決まっていたユニットと、発売されたCDが2枚以下のユニットを指します。前者は「J-FRIENDS」、後者は「KEN☆Tacky」などが該当します。
*4:既にデビューしたグループから数名が選抜されたユニット。「テゴマス(NEWSの手越祐也・増田貴久)」や「舞祭組(Kis-My-Ft2の千賀健人・宮田俊哉・横尾渉・二階堂高嗣)」などが該当します。
*5:テレビドラマや映画の出演者同士で組まれたユニット。「修二と彰(山下智久・亀梨和也)」や「トラジ・ハイジ(堂本剛・国分太一)」などが該当します。
*6:レコード時代の名残である「A面」という呼称は「表題曲」を指しており、対になる概念として「B面(カップリング曲)」があります。
また、「両A面」は収録されている曲の両方が表題曲であるという意味で、嵐「truth/風の向こうへ」(2008年)や、Hey! Say! JUMP「AinoArika/愛すればもっとハッピーライフ」(2014年)などが該当します。
*7:収録されている3曲がすべて「A面(表題曲)」であるシングルのこと。
関ジャニ∞「好きやねん、大阪。/桜援歌(Oh!ENKA)/無限大」(2005年)などが該当します。
*8:表題曲をDVDの映像で楽しんでもらうことを主目的としたシングルのこと。
NEWS「四銃士」(2015年)や、A.B.C-Z「Za ABC~5stars~」(2012年)などが該当します。
*9:ドラマや映画での役名がクレジットされている場合と、デビュー済みのグループが別のグループ名を使用している場合を指します。
前者は「桜庭裕一郎(長瀬智也)」など、後者は「殺せんせーションズ(Hey! Say! JUMP)」などが該当します。
*10:元データはExcelで作りましたが、すべてのグラフと紐づいているのでめちゃめちゃ重いファイルになりました。今回引っ張り出すのが大変でした……(白目)
*11:本論では「歌詞の大まかな趣旨」を「ジャンル」、「ひとつのジャンルを細かく分類したもの」を「テーマ」とします。
*12:ジャンルの「その他」には、「人生」や「友情」をテーマとした歌詞や、タイアップしたドラマの影響を受けた「ミステリー」などのテーマの歌詞が含まれます。
*13:すべて5年ごとに区切ると平成31年が余ってしまうため、平成31年については「平成26~31年」として分析を行っています。
*14:「その他」には「危険な恋」をテーマとした歌詞などが含まれます。
*15:「奇跡の人」はどちらかといえば例外で、今回の分析ではほとんどがいわゆる「ひと夏の恋の予感」を待ちわびるタイプのやつでした。そんなに夏に恋したいのか……????
*16:危険な恋や秘密の恋、一夜の恋などを歌った曲が「その他」に該当します。嵐さんより先輩の兄さん方に多い印象でした。
*17:「選手応援型」の歌詞のほとんどはオリンピックの中継イメージソングなどに起用されている点から、スポーツ選手が世界に挑戦する様子を応援する歌詞であると思われます。
*18:卒論執筆時、どんな曲だろうと思って聞いてみたらめちゃめちゃ聞き覚えがあってびっくりしました(※当時4歳) CMソングだったからでしょうか……?
*19:2004年のアテネ五輪以降、日テレのオリンピック中継テーマソングは夏冬ともに嵐さんでした。ご厚意に感謝……(どこ目線?)
*20:かつて存在したNEWS・関ジャニ∞・KAT-TUNの3組合同のファンクラブの呼び名。転じて、その三組の総称としても使われることがある。
*21:当時リアタイでファンをしていたんですけど、あれからもう10年も経っていることが全く信じられません……!
*22:2020年に手越くんが脱退/退所し、2022年現在は3人体制で活動しています。
*23:「選手応援型」は手越くんがクラブワールドカップのキャスターのお仕事をもらうようになってから如実に増えました。4人体制になってから個人仕事の幅が広がったのが大きいかな~~と個人的に考えています。
*24:当ブログではアニメのほうのキンプリのときにお世話になったAちゃんです。詳しくはこちら↓
*25:2019年春、某所の丸善ジュンク堂でこの本に出会わなければ、この研究は存在しませんでした。ありがとうございました……!!!!