2015年10月期に放送されたTVアニメ『スタミュ』に登場するキャラソンの歌詞を、大学の授業のレポート課題として品詞分解して分析した、というだけのエントリです。ご存知の方もそうでない方も、もしよろしければそのままお読みください。(ちなみに今回のタイトルはDVD・Blu-rayの特典ドラマCDのタイトルに準じています)
というわけで品詞分解、いざ尋常に
1. 始めるにあたって
わたしは『スタミュ』という作品が好きです。ご存じでない方にざっくりと紹介すると、「男子高校生版宝塚」を舞台にした学園青春モノ、というようなお話なんですけど、ほんとうにこの作品が好きで好きで、わたしがDVDを人生で初めて全巻購入した作品でもあります。(以下の動画は第2期の告知映像です)
そんな『スタミュ』はミュージカルを題材にしているという性質上、毎話劇中でキャラソンが歌われるんですけど、なんだか同じような単語がよく使われている気がするなあ、という気持ちをわたしは常々抱えていました。頻出単語がもしかしたらあるのかもしれない、なんて思ってるうちに、なぜかレポートとして取り組むことと相成りました。(詳しくは以下に書いてあります)
2. 品詞分解の方法と対象楽曲
先行研究の分類方法に則って、登場する単語を以下の6つに分類しました。
「名詞」:事物を表す単語。数詞・代名詞を含むこともある。
「動詞」:事物の動作・作用・状態・存在などを時間的に持続し、また時間的に変化していくものとしてとらえて表現する語。
「形容詞」:事物の性質・状態・心情等を表す語。ク活用とシク活用がある。
「形容動詞」: 品詞の機能としては形容詞と同一。ナリ活用とタリ活用がある。
「副詞」:動詞・形容詞・副詞および文を修飾する語。
「感嘆詞」: 感動や応答・呼掛けを表す語。(以上、『広辞苑 第六版』より引用)
また、品詞分解の対象楽曲は、TVシリーズ第1期全12話とOVA全2話の本編+OPEDに使われた楽曲(フルサイズ)としました。※ただし、特殊状況下で歌われた「Angel Lost」は対象外とし、「星のストライド」はソロバージョンのみを対象としています。
というわけで、全22曲を対象として品詞分解を決行しました。
ちなみに作業としては、
歌詞を打つ(発売済みの楽曲は「Lyrics Master2」を用いて歌詞を取得して印刷しました)→文節に区切る→電子辞書と検索エンジンの力をお借りして全手動で品詞分解
という感じです。以下はOVA第2巻収録の第14幕ED「C☆ngratulations!~team鳳Ver.~」の品詞分解の様子です。
緑は名詞、黄色は動詞、水色は形容詞、赤は形容動詞、紫は副詞、オレンジは感嘆詞、ピンクは未分類の単語です。ナニコレカラフル。
そしてすべての単語のカウントが終了した後に、「KH Coder」を使用して数の擦り合わせを行いました。
機械って便利ですね!!!!
ちなみに擦り合わせっていうのは表記ゆれを一般的な単語に直したりする作業を指します。「あこがれ」「アコガレ」を「憧れ」に戻す感じですね。
でも全手動の品詞分解に比べれば全然楽でした。あとそんなにカウントミスがなくてほんとによかったです。よかった……
3. 結果
ざっくりとですが品詞分解の結果を発表します。ばばーん。
確かカウントだけで8時間、並べなおしに数時間……えーと、どんだけかかったかな……Wordの編集時間を見たら1720分って書いてあったんですけど、つまり? 28.7時間だと……?(KH Coderとの擦り合わせも含めたらたぶん40時間超?)
HAHAHA、この辺はあまり考えてはいけないようですね! それではさっそく表をご覧ください。
ここからは品詞ごとに見ていきたいと思います。まずは名詞から!
【名詞】
「夢」がダントツ1位で45回の登場! 今回の対象楽曲は22曲なので、単純計算で1曲につき2回は登場している計算です。すごい。そりゃあみんな夢に向かって頑張ってる子たちなんですけど、にしてもよく出てきてますね。「明日」より「いま(今)」が3倍近く登場して2位にランクインしてるのも、彼らがいままさに夢を追い掛けながら青春を送ってるからなんですかね……青春してるなあ……(遠い目)
また、「星」って単語は案外少なかったみたいです。もうちょっとあるかなあと思ってたんですけどね。そのほとんどがteam鳳の楽曲に登場していました。劇中で指で星を作ったりしてることを思えば、まあ当然といえば当然ですね。
【動詞】
「歌う」とか「踊る」とかはミュージカルアニメらしい感じの単語ですね。「伸ばす」はほとんどが「手を伸ばす」という形で使われていました。また、基本的に明るい雰囲気のアニメなので、「傷つく」が11回も使用されていたのには驚きました。
(動詞は言及してくとキリがないのでここまでにします)
【形容詞】
「ない」が1位になりました。「~じゃない」の「ない」が形容詞としてのカウントなのでこの結果になったのかなあという印象です。ポジティブな形で「ない」が多く使われた印象です。「見えない」の「ない」等は未然形の助動詞なのでカウントしなかったはずです。間違いなく今回の品詞分解で頭を抱えた単語No.1でした。マジでギルティです。
2位の「まぶしい(眩しい)」はteam鳳が「まぶしすぎる」という形でよく使ってました。わたしには君たちがまぶしすぎます。きらきらしてるよみんな。
また、「欲しい」に関しては、電子辞書で調べるまで動詞だと思ってましたが、よくよく考えたら動詞だったらウ段音で終わってるはずだってことに今更気づきました。イ段音で終わってたら形容詞。そういやそういうの中学の時に習った気がする……遠い記憶だ……
【形容動詞】
形容動詞自体の使用頻度が低かったため、このような結果になりました。
「無限だ」は3回すべてが月皇くんのソロ曲「Limited Sky」に、「永久だ」と「絢爛だ」は天花寺さんのソロ曲「天下の花」にすべて登場します。「天下の花」に関しては(まあ言ってしまえば全員そうなんですけど)エントリ1本埋められるので、またの機会に投稿します。
あと、「ドラマティック」って形容動詞なんだなって……普段形容動詞って意識して使う機会がないので、電子辞書を見てびっくりしました。「ドラマティック」から「ロマンティック」を連想して、脳内に西村ヒロチョさんがよぎったのは気のせいってことにしときます。
【副詞】
1位が「きっと」っていうのが何とも言えない『スタミュ』らしさかなあと思います。夢を追う彼らが「きっと叶う」「きっとできる」みたいな感じで、未来に希望を乗せて歌い踊るんです……きらきらしてるなあ……
※追記 「きっと」のうち9回が第6幕の「五重奏〜クインテット〜」で使用されていました。未来に希望乗せすぎだよかわいいな(?)
ちなみに「遠く」は10回すべてが「アヤナギ・ショウ・タイム」、「ぐっと」は8回すべてが「我ら、綾薙学園華桜会」に登場していました。一曲だけで遠くなりすぎだしぐっとしすぎだって。そこも含めて好きだけど。
【感嘆詞】
感嘆詞はこの種類が登場したすべてです。そもそも種類が少ない。そしてその中で異彩を放つ「さあ」と「ほら」……自分たちに呼びかけていたりこちら側に呼びかけていたりするんですが、割と呼びかけられてたみたいです。彼らに呼びかけられたからDVDを買ったんですかね。そんな気もしてくる結果です。
4. 品詞分解を終えて――『スタミュ』という作品の主題について
すべての単語の中でいちばん使用頻度が高かったのは、名詞の「夢」(45回)だと判明しました。しかし、実は同義である「ドリーム」(1回)・「YUME」(2回)・「Dream(s)」(7回)を含めると全部で55回も登場していました。
しかも、今回品詞分解の対象にした22曲すべてにこれら(レポートでは「『夢』群」としました)が使われていたんです。めっちゃ夢について歌ってるな彼ら。
中でも顕著な曲が第8幕の「Ready→Steady→Dream!」で、この曲では「夢」が6回、「Dream」が3回の計9回(「夢」群のうち16%)使われていました。
これを歌うteam鳳も含め、team柊、華桜会といった『スタミュ』に登場するキャラクターたちは、個々が抱える問題や目標、チームの性質などは様々ではありますが、彼らがチームそれぞれで歌う曲すべてに「夢」群の単語が使われているということから、「夢を追い掛けている」という点では全員が一致しているといえるんじゃないかなあと思います。
そういうわけで、「夢」という言葉は彼らの物語の主軸になるものであり、『スタミュ』という作品全体の主題といっても過言ではないと考えます。
……というのがレポートで提出した考察の一部です。「夢」の考察については『スタミュ』をご覧になった方ならもしかすると一度は考えたことのある内容かもしれませんが、個人的には学園の伝統を守る華桜会の面々も「夢」を歌っていたというのが衝撃だったんです。彼らもまた等しく夢追い人だったんだなあと思うと少し泣きそうになります。
また、普段触れない2番の歌詞で大事なことを歌っていることも多かったことも特徴かなあと思います。特に天花寺さんと空閑くん、君らさあ、2番でいろいろ言いすぎなんだよ~~!!!! 頼むからわたしを殺さないでくれ……(遺言)
とまあこんな感じで、今回の品詞分解は終了です。長かった。長かった。
今後は品詞分解の過程で歌詞を読みこんだ際に生まれ(てしまっ)た、分量的にレポートには書けそうにない考察を書いていこうと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!