お久しぶりです。つい最近になってアンシエントの先輩たちがいまの自分と同い年だということに気づいて戦慄しました。 中の人たちがベテラン*1ばっかですっかり忘れてました…………嘘でしょあれで大学3年生か~~~~大人だなあ…………でも(彼らってプロのミュージカル俳優を目指すひとたちだからインターンのことなんて考えなくていいんだろうなあ)などと思ってしまったのはほんとうにすみません()
さて、今回は「スタミュ考察・キャラクター編」の第3回として、天花寺さんの「天下の花」*2について触れていこうと思います。
「天下の花」/天花寺翔(CV.細谷佳正)
第3幕の「天下の花」で彼が歌うのは、「梨園の貴公子としての誇りと舞台への覚悟」です。第3幕の序盤まではそのプライドとプロ意識の高さから、初心者の星谷くんに対してキツく当たっていましたが、その後は面倒見の良さを発揮してチームの支柱になっていきます。
多用される熟語の当て字/歌舞伎に関する単語
この曲の歌詞は
熟語を当て字で読む表現の多用が特徴です。最初に歌詞を見たときに
(どんだけ当て字使うの天花寺さん……!)と思ったのはきっとわたしだけではないと思いたいです。
当て字が使われた熟語全7語のうち、1番Aメロの「時代(とき)」「疾風(かぜ)」、1番サビの「夢幻(ゆめ)」、1番Bメロ「真実(まこと)」の4語は、熟語の片方の字の訓読みを採用しています。それぞれ「時」「風」「夢」「真」の訓読みですね。
残りの3語である「信念(おもい)」「運命(さだめ)」「瞬間(そのとき)」はその流れには当てはまりません。「瞬間(とき)」ならJ-POPの歌詞によくありがちですが、「そのとき」にしたあたりが珍しい感じがしますね。
わざわざ熟語を当て字にする理由は何だろうなあと考えたんですが、そういえば
天花寺さんは頭が良い*3っていう設定があったのを思い出しました。第3幕のミュージカルパートでの彼の
ドヤ顔勝ち誇ったような顔が目に思い浮かびますね……!
彼が作中で頻繁に使用するがゆえに彼のあだ名となってしまった「野暮助」の「野暮」も、実は当て字
*4だそうです。
なるほど、もしかすると当て字が好きなのかもしれない(?)
また、彼の基盤である歌舞伎(もしくは舞台)に関する言葉も多く登場します。
冒頭サビと大サビの「花道
*5」、1番Bメロの「板に付いた」、2番Bメロの「バチの音」
*6「奈落
*7」「顔見世
*8」、大サビの「晴れ舞台」がこれにあたります。さすが
梨園の貴公子…………
余談
「野暮助」という言葉の用例
*9を見ると、「
箸の持様も知らぬ、-の/歌舞伎・幼稚子敵討*10」とあります。歌舞伎に出てくるんですね野暮助……ちなみに「野暮助」で検索をかけると見事すぎるぐらいに
天花寺さんに関することばかり出てきます。やぼすけつよい。
梨園の貴公子としての誇りと覚悟
本編で基本的には自信満々な様子を見せる
天花寺さんですが、それは彼が場数を踏んでいるゆえの余裕から来ているように思います。あくまで主観ですが、team鳳の中では彼がいちばん舞台に立つことへの覚悟ができている印象です。
以下では、彼のそんな様子が歌詞に表れている2カ所を紹介します。
大サビ
伝統が綴る足跡
濁りなき意志で臨もう
惑い脱ぎ捨てて立つ晴れ舞台
ここには、
梨園の貴公子であることへの誇りと、ミュージカルをやることへの戸惑いを捨てて挑戦することを決めた様子が垣間見えます。
「惑い」という少しネガティブな単語があるのが意外ですが、そういえば「家の方針で綾薙学園に入学した」という話が出てくる
(初出忘れたので確認しておきます……すみません……)はずなので、彼は最初からミュージカルをしたかったわけではなかっただろうし、
年相応に戸惑いもあったのだと思います。それを感じさせない
天花寺さん……さすが……
2番Bメロ
いまが錦飾る瞬間
「錦を飾る」という慣用句が使われていますが、これは「
功を成し遂げて故郷に帰る*11」という意味で使われる言葉です。直前の「鼓動鳴らすバチの音」「顔見世が始まる」という歌詞から考えると、歌舞伎の舞台が始まるときのことを指しているようにも聞こえますが、個人的には
「自分がミュージカルの世界で成功することで、歌舞伎界へ還元をしようとしている」という意味にも思えます。
第1期第1幕の候補生オーディションの直前、学園の広報部に取材されていることを思うと、すでに精力的に芸能活動を行う彼が「歌舞伎俳優でありながらミュージカルをやる」というのは、
相当な宣伝効果であるのではないかと思います。なんだかんだと言って歌舞伎への関心を集めるのに一役買っていそうですね。
「天花寺翔、ミュージカルの名門・綾薙学園に入学!」みたいな感じの見出しでネットニュースになるパターンのやつ
*12だ……
というわけで、彼の誇りと覚悟は、彼自身のためだけではなく、彼が属する歌舞伎界のためでもあるのかなあとわたしは考えています。
「天花寺翔」のルーツ
2番サビに登場する「叢雲(むらくも)」について調べた際、関連項目のひとつに「月に叢雲花に風(意味:世の中の好事には、とかく障害の多いこと*13)」という慣用句がありました。なるほど、そういう障害を越えて立ち向かっていくという決意が「叢雲」には表れているのかなあ、と電子辞書を眺めていると、もうひとつ「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」という言葉が出てきました。これは日本神話においてスサノオノミコトがヤマタノオロチを倒したときにその尾から出た剣のことで、通称としては「草薙の剣」という名前になります。
まあさすがに後者は考えすぎかなあと思っていましたが、2期第8幕で天花寺さんの口から「天岩戸(あまのいわと)」の例え話がさらっと出てきたので、前述通り単に頭が良いからなのか、それとも日本神話が歌舞伎の題材にあるのかなのかが気になったので、ものすごく軽~~~~い気持ちで「歌舞伎 日本神話」で検索しました。
その結果、「ヤマトタケル」という演目の紹介ページがヒットしました。このページにある記述が衝撃的だったので、こちらに引用します。
(中略)
「天翔ける心、それが私だ!」。場内に響き渡る声が美しく感動的な幕切れとなります。
……うん? どこかで聞いたことが? ある……ような……?
(突然2期の話になってしまい申し訳ないのですが)2期第4幕で
天花寺さんが出演する公演は、
彼の父親が始めたという「ゴシック歌舞伎」と呼ばれる「新ジャンルの歌舞伎」であることが卯川くんの口から語られています。
また、この作品の中で
ヤマトタケルが使用する武器は、
「草薙の剣(前述のとおり別名は天叢雲剣)」であり、「天下の花」2番サビに登場する
「叢雲」という言葉につながります。
そして、極め付きは幕切れの際の台詞の「天翔ける心」……えっ待って、これってまさか、
「天花寺翔」という存在とその背景の元ネタなのでは????
偶然にしてはできすぎてる気がします(ゲンドウポーズ)
この流れで行くと、
天花寺さんはアラフォーのときに大河で秀吉役やったり
*1840代後半に土下座する常務になったり
*1950歳越えてから「カマキリ先生」と名乗ってカマキリの着ぐるみ着たり
*20するんですかね! ほんとにそうなるかは誰にもわかりませんが、
天花寺さんには(もちろん香川さんにも)息の長い役者さんになってほしいと願うばかりです。
終わりに
歌詞分析をしていたはずが、まさか彼の名前の元ネタっぽいものに辿り着くとは思ってませんでした…………カマキリはさすがになさそうですが、
天花寺さんは20年後ぐらいに
大河ドラマ出ますよきっと(?) でも
天花寺さんは秀吉ってよりは信長っぽいなあと個人的には思います。
ちょっと今回頑張りすぎたので(※当社比)、脚注乱舞で読みづらいと思いますがご了承くださいませ。
あと、前回の那雪くんの考察はいつか加筆修正します…………(ゆうつむちゃんへ。文字数が少なすぎて申し訳ないのでわたしに謎茶100杯ください)
次回は第4回として空閑くんの「RADIANT MIND」をお送りする予定です。2期ではリア恋量産ボーイ(あくまで主観ですが)だった彼について、少しでも迫れればと思っています(?)
それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
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